H5N1ウィルスの提供問題に端を発し、インドネシアで感染症の研究を行っていた、米国海軍医学研究所(NAMRU-2)に関する激しい論争が続いている。
一連の議論に関して、私自身は、インドネシアの考え方は一理あるものの、対外的、対内的の政治のために利用されている面が強く、このままWHOや米国との確執が続けば、結果として、変異を起こしているかもしれないH5N1ウィルスの解析が遅れ、世界の新型インフルエンザ対策に深刻な影響をもたらす可能性があると考えている。
インドネシア保健大臣、シティ・ファディラ・スパリの、「先進国がH5N1ウィルスを商業利用し、しかも生物兵器等軍事目的への流用が行われている」という持論の一つの標的となっている、NAMRU-2に関して、各方面へのインタビューを続けているdetik.comのニュースから、ここ数日報道された内容を抜粋で追ってみた。
Menkes Sempat Tak Boleh Masuk Lab Namru AS de Jl Percetakan (4/18 10:36)
4/16に保健大臣は保健省調査研究局(Litbangkes)と同じ複合施設内にあるNAMRU-2を突然訪れたが、入ることを拒まれた。最終的には入ることができたが、保健大臣自身が次のように答えている。
「入れなかった。入ることは難しい。もちろん私は事前に連絡していなかったが。責任者がいないとのことだった。」
Kontrak Kerja Sama Namru Berakhir 2005 Kok Masih Meneliti (4/18 10:39)
detik.comのインタビューでの保健大臣の発言。「すでに契約期限から2年が過ぎているのだから、活動を止めるべきでしょう。ところが、まだ調査活動を行っており、ウィルスサンプルの提供を受けている。」
Meneliti Kesehatan Kok di Bawah Militer, Nyantol di Depkes (4/18 11:17)
前記事と同じインタビューでの保健大臣の発言。「不手際がある。健康の研究なのに、なんで軍の下部組織で、保健省の施設の中にあるのか。」
Penelitian Virus di Namru Distop Hingga Ada MOU Baru (4/18 12:45)
保健大臣発言。「もちろん、以前に送られたウィルスの研究については問題ではない。すでに実施中の研究は続けてもかまわない。新しい調査研究は、新しい覚書が締結されるまで、実施してはならない。」
Daripada Undang Pertanyaan, Hentikan Saja Kerja Sama Namru! (4/18 16:25)
国防担当の国会議員(ゴルカル党)Yuddy Chrisunandiの発言「NAMRUには疑問を抱いている。国会はすでに政府に対し質問をしているが、理解できる回答は得ていない。」NAMRUとの協同のメリットは不明確で、論争を呼び、また透明性が無い。「活動は止められるべきだ。」
AS Akui NAMRU Dilarang Teruskan Riset (4/18 17:16)
米国大使館の報道補佐官Tristam Perryのdetik.comの質問に対する回答「インドネシア政府はすでにNAMRU-2の生物医学的サンプルを集めることの継続を禁止している。」
「インドネシア政府はNAMRU-2の活動を止めることは無い。共にメリットがあるこの調査の共同活動は続けられるべきである。」
AS: Tak Ada Kekebalan di NAMRU (4/18 17:54)
上記記事と同じTristam Perry 報道補佐官の回答から。「NAMRU-2は完全に透明性のある組織である。」「保健大臣は今週の訪問で、NAMRUの研究室への入出を許可されている。」「NAMRUは1970年にインドネシア保健省の招聘に基づき設立されている。」
Menkes Tidak Larang NAMRU Lakukan Penelitian, Asal... (4/18 20:49)
保健大臣の発言。「保健大臣は新しい覚書が締結されれば、調査を禁ずることは無い。しばらくの間停止される。なぜなら、覚書は米国で作成途中である。」「軍事問題は、国防省の問題だ。外交の問題は外務省。保健省は研究の問題を処理するだけである。」「NAMRUは、私が保健大臣になるずっと前から、健康に関する研究を続けており、もちろんこれは保健省と共同で行っているものだ。」
Namru Didesak Hengkang dari RI (4/21 11:40)
国会前で郷土保護協議会(Forpeta)約50名がNAMRUに再度許可を認めないことなどを要求して、抗議活動デモを実施
RI Minta NAMRU Lebih Transparan (4/21 17:59)
外務大臣Hassan Wirajudaの発言。「新しいMOU(覚書)のドラフトの中で、我々はインドネシアが協力することと、NAMRUの施設がより透明性を持つことを伝えた。それから、我々の研究者に対し、以前より良いアクセスを提供することを求めた。」
AS Tuding Indonesia Bikin Negosiasi Namru-2 Mandek (4/22 12:10)
米国保健福祉省長官Michael Leavittが報じたStraits Times氏の発言によると、インドネシアの高官はH5N1ウィルスの他国への提供を拒否している。NAMRUの将来に関する交渉も行き詰っている。
彼らは、鳥インフルエンザワクチンに対して平等にアクセスできることを求めているだけだ。しかもインドネシアは支払を求めている。
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