2008年5月18日日曜日

@62:感染源はどこに

南ジャカルタ市で、16歳の少女が感染して死亡した。その弟も約10日前に、同様の症状で死亡している。例えば日本でこのニュースを聞いた方は、どんな場所を想像するであるだろうか。

鳥インフルエンザが発生するのだから、近くに養鶏所があったりする、南国の、のどかな風景を想像するであろうか。否。今回の発生は都市部の住宅密集地で発生しているのである。

下の航空写真を見てみるとわかるが、発生地点の左下に見える、大きな建物は、日本人駐在者家族もよく利用する、大型の高級ショッピング・モールである。その下にゴルフ場が見え、写真には写っていないが、その下には、いくつかアパートが点在し、日本人を含む居住地域となっており、インターナショナル・スクールもこの近くにある。


報道によれば、この地域では、まだ多くの住民が家禽類を飼育している。ジャカルタ特別州政府は、感染源の特定と、付近の家禽類の処分に動いているが、今回のケースでは、患者と家禽類の直接的な接触は確認されていない。さらに次のようなニュースもある。

Virus Mematikan Itu Masih "Bergelayut" di Kota Jakarta (Kompas 5/16)
南ジャカルタ市、畜産局、動物衛生・社会衛生局長のEko Henri Wicaksonoによれば、患者自宅付近で行われた、家禽類の鳥インフルエンザ感染確認の簡易検査は、54サンプルすべてが陰性であった。「一羽の鳥も病気ではなく、すべて陰性であった。」

いったい、何から感染したのか。弟はやはり、鳥インフルエンザ感染であったのだろうか。
それは、同じ感染源によるものかのか、あるいは、限定的なヒトーヒト感染なのであろうか。

患者自宅付近は、引続き、検査が行われ、さらには付近住民の血液採取が実施され、今後10日間にわたって、厳戒体制が取られるという。

DKI Sisir Kawasan Radio Dalam (Tempo interaktif 5/17)
ジャカルタ特別州政府は、南ジャカルタ市、Gandaria Utara、Radio Dalam通り付近の徹底的な探索を行い、今後10日、鳥インフルエンザの拡大を想定した体制をとる。
ジャカルタ特別州保健局長のWibowo Sukijatは、「我々は、付近住民の血液検査を実施する。さらに、病気の住民のデータもすべて取る。さらに住民への啓蒙活動を実施する。」と語っている。

私は、専門家でもないので、ウィルスが変異しているのかどうかといった事は、よくわからない。しかし、今年3月に発生した西スマトラ州Agam県Sianok村の1歳の患者も、家禽との直接的な接触が確認されておらず、感染源が不明であったことが知られている。

なぜ、このように家禽類との直接接触がないのに感染が起きるのか。感染経路は何なのか。こういった情報が公表されていないのが、非常に不安である。

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